初夏の日差しが肌を照らす。
じりじり焦げていくようなそんな気がした。
あー、もう。
帽子持ってくるの忘れちゃったよ……。
これだから、夏は嫌い。
憂鬱になる気持ちを抑えて、高校への道をひたすら歩いた。
気がつけば、下を見ながら歩いていたあたしは、顔を上げて前を見据えた。
「………あ」
前には、自転車にまたがって信号を待つ健がいた。
お日様の光を浴びて、光る健のジャージ
………キレイ。
あたしは、健に話し掛けようとした体を落ち着けて、健の後ろ姿に見とれた。
顔はよく見えないけれど、きっと真剣な目をしてるんだろうな。
あ、キョロキョロしてる。
可愛いー……
……って…?!
健に見とれていたら、バッチリ目が合った。
そりゃ、すごいバッチリとね……。
「…おい、汐莉」
静かな路地に健の低い声が響いた。
あたしの肩は、突然のことにビクンと跳ね
目は更に健に見とれた。
あれ?
健がこっちに向かって来るような気がする………ん?
「おはよ」
あたしの目の前に健の笑顔があって、油断した隙に頭を撫でられた。
あまりの衝撃にあたしの体は石みたいに動かなくて。
おまけに声も出なかった。
「おーい?早く後ろ乗らないと遅れるよ?」
健の一言でハッとなる
「あっ……あたしいいよ。歩いてくし」
「汐莉のろまだから連れてく」
「……えっ、ちょっ……?!」
抱きかかえられたと思ったら、あたしの体は自転車の荷台にあって……
サドルには健が座っていた。
「出発進行ー!」
「……おー…」
無理矢理すぎる健でした。
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