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◇◆Side.汐莉◆◇
ミーンミーン……
じりじり肌を照り付ける初夏の太陽。
しつこいほどに響くセミの鳴き声。
いつもと何ら変わらない初夏の朝。
心臓がいつもよりも暴れていて、
いつもよりもちょっぴり早起き。
なんでだろう、夢にまで出て来たの。
健の太陽みたいな笑顔が。
朝日ヶ丘高校バスケ部のみんなが。
「……んー…っ」
シャッ
カーテンレールの心地好い音が響いて、あたしは大きくのびをした。
初夏の日差しが眩しい
将生くんの怪我から、あっという間に三日が経って、今日はいよいよ高体連初日。
対戦校は、バスケの名門静南高校か新陵高校。
朝日ヶ丘はシード校なので、勝ち上がってきたチームとの対戦になる。
静南高校は、独特の攻撃でPG(※1)の頭脳が光る。
選手のほとんどはPGを経験していて、誰がPGになってもゲームメイトは素晴らしい。
選手層も豊富で、誰が出てきても強さが変わらないところが特徴のチーム。
対する新陵高校は、できたばかりの新設校で
あまり情報が入ってきてはいない。
でも、春季大会には地区予選トップ通過。
全市大会でもそれなりの成績を残している。
どちらが勝ち上がってきてもおかしくない。
きっと、どちらのチームでも良い試合ができるような気がする。
朝日ヶ丘高校は会場校になっていて、
あたしは準備をして家を出た。
語句説明
(※1)PG ポイントガード
バスケットの用語でポジションの名前に使う。
ドリブルやパスさばきが得意で、二人いるガード(G)のうち、比較的身長が低いほうがなる。
詳しくは美緩の作品『バスケのススメ』に。
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