ひまわり




「将生な……?…肉離れだった。
……それもかなり酷い状態でな」





一瞬、僕は先生の言葉に耳を疑った。
肉離れなんて、最低でも一ヶ月は絶対安静


将生、試合はどうすんだ……?






「……じゃあ、先生…」

「お前の思っている通りだ、将生を試合に出すことはできない……」




僕はわけもわからず、急に腹が立った
見えない何かに、わからない苛立ちをぶつける。


自分がわからなくて
何に怒りをぶつけているのかもわからなくて

ただ、ただ。
将生が試合に出れないことが一番に悔しかった。




三年間、どんな時も一瞬にやってきたパートナーが
ここにきて離れるなんて嫌だった。


それよりも、三年間誰よりも努力し続けていた将生なのに
その努力が報われなかったことが気掛かりだった。





誰よりもバスケが好きで
誰よりもこのチームが好きで
誰よりもみんなのことをよく分かっていて


誰よりも、誰よりも。
みんなからの信頼が厚かった。






どうして、最後の試合に一緒に望むことができないんですか……?

僕が一番、一緒にプレーしたかったのは将生だったのに。



なぜですか…?

誰か答えてよ。










悔しくて悔しくて、僕は自分のことのように思えてきて、気付けば涙が零れていた。




「……きっと…大丈夫。
将生なら、きっとやってくれるよ」


広瀬先生は、そんな僕を支えながら
小さい子を宥めるようにあやすように呟いた。





その言葉は、不思議に思うほど僕を落ち着かせてくれた。
優しくて、きっと大丈夫だろうって思えた。


将生なら、きっと大丈夫なんだろうなって。

神様は努力してきた人にそんなにひどいことはしないはずだよね?



なら、信じてみることにするよ