ひまわり






「あさひーっ!ファイオー!」





修学旅行から帰ってきて、僕ら三年は今までよりもっと真剣に練習に打ち込んだ。


声出しもいつもよりも頑張って
練習のメニューを早く終わらせるようにして、その分ゲームの時間をたくさん作った。


部員のみんなも必死でついてきてくれて、
いよいよ高体連もあと三日に迫った。







全てが順調に進んでいた、……はずだった。


なのに、なのに……。
まさかあんなことになるなんて…。











「……うあっ…!!」



バタンッ







3manをしていた時、突然叫び声がして
誰かがコートの上で倒れた。






…………将生だ。




「将生っ……!!」

みんなが将生の周りに群がる。
そんな姿を僕はただ、呆然と立ち竦んで見ていた。


将生は右足のふくらはぎをおさえて苦しげな表情をして、僕を見つめた。






「部長っ!!先生呼んでください!!」



誰かに叫ばれるがまま、僕の足は職員室に向かっていた。

必死で広瀬先生を探して学校内を走り回った





将生……!
お願いだから無事でいて……!

将生がいないと、バスケが成り立たねぇよ……




いや、バスケだけじゃなくて“バスケ部”が成り立たなくなる。

そして、僕の中の支えも。




それくらい、将生は大事なんだ。











「おい、健?そんなに急いでどうしたんだ?」


広瀬先生が僕の姿を見て、苦笑いをしながらそう言った。

――…いつしか、僕の頬に涙が伝っていた






「先生……!!……将生が…将生が」




僕の慌てぶりに先生も事態を理解してくれたようで、二人で体育館に急いだ。