好きで好きでたまらなくて、
愛しいあたしの王子様。
……あたしってば、健にベタボレじゃん。
ただの“幼なじみ”だったあの頃。
届かないと分かっていても、健への想いを必死に育てたあの頃。
今、あたしの前にいる健はあたしが見てきた健の全て。
最近になって思う。
健と幼なじみで良かった、って。
一緒に生まれ育った幼なじみで
本当に本当に良かった。
あたしはずっと幼なじみなのが嫌だった。
誰よりも健を知りすぎている自分が嫌だった。
ずっと胸の中でわだかまりみたいに疼く想いが
伝えたくて仕方なかった。
でも“特別”なんだって思ったら
自分が一番健に近い存在のような気がして
幼なじみであることが嫌じゃなくなった。
むしろ、幼なじみで良かったって思えるようになった。
幼なじみじゃなかったら今頃あたしは誰の腕に抱かれていたんだろう。
だけど、あたしの一番好きな腕は
健しかいないから……。
他の誰でもなく、健だから……。
今更だけど、健が好き。
好き、好き、好き。
あーもう止まんないよ……。
あたしのこの想いは
この世界に存在する言葉を全部使っても
伝えきれないくらい大きな想い。
好きだけじゃ終わらない。
「………健、好き」
「知ってる」
甘く囁く声が好き。
優しく抱きしめる腕が好き。
健のくれるキスが好き。
健じゃないと体が受け入れないくらい、
あたしは健に支配されていたんだね。
好きだよ、健。
ベタなテレビドラマじゃないけど
あたしの想いはそのまま真っ直ぐに君に向かってるよ……
離れてても心は繋がってるよ。
……なーんてね。
大声じゃ恥ずかしいから、心の中で叫ぶよ。
“世界で一番健が好き”
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