あたし、負けないよ？
病気なんかに負けないよ？
いや、負ける気がしないの。
あたし死ぬ気がしないの。
だってね、あたしはもう一人ぼっちなんかじゃないから……。
“心から人を信じることが出来た時、人は一人ぼっちじゃなくなる”んだって。
あたしは健を心から信じてる。
だから、もう一人じゃない。
なんだかね、二人ならどこまでも行けるような気がするんだ。
一人じゃ分からない場所でも、二人ならきっと大丈夫なんだよ。
「……健？」
「ん？」
“あたし、頑張るよ”と小首を傾げる健に誓った。
もう逃げないよ。
あたしなら大丈夫。
健がいるもん
「汐莉……」
健はあたしの名前を呼んで、頬を伝う涙を拭った。
この涙は、頑張るって誓った証拠。
悲しい涙じゃなくて、キレイな涙。
フワッとあたしの体が健の体で包まれた。
「一人じゃない……
汐莉は一人じゃないんだよ？
一人で強くなろうとしなくていい。
頑張らなくていいから…
……俺に汐莉を守らせて？」
もう泣かない……
もう泣かないって誓ったはずなのに…頬に流れるモノはなんだろう？
健の力強い言葉に堪えてた涙が一気に溢れた。
「そんなに肩肘張って生きなくてもいい。
まだ全然ダメダメだけど、俺の全ては汐莉を守るためにあるんだよ？
だから…もっと甘えろ…
俺が全部受け止めるから。」
「………うん」
「汐莉を守れんのは、俺だけなんだよ」
嬉しくて嬉しくて、涙が溢れた。
この涙は苦しくない。
あたしが今まで流してきた涙とは全然違う。
初めて涙が、こんなにも温かいことを知った。
そのままあたしは、静かに涙を零した。
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