◇◆Side.汐莉◆◇







健………
あたし、健のこと信じて良かったよ…?

だってね?
健はいつも欲しい言葉を不器用だけど
真っ直ぐ伝えてくれる。


あたしを一番に想ってくれる。





健、大好きだよ?

あたしには健がいないとダメみたい。



ごめんね、ダメダメな彼女で……









自分の命があともう少しなんて思いたくないし
信じたくもない。

でもね、最近思うんだ。



あたしの限られた時間の中は
健で埋め尽くされてたらいいなって。

限られた時間なんだったら
その分、胸張って“あたしの人生は間違ってなんかなかった”って
言えるように過ごしたいんだ。



ほら、“終わり良ければ全て良し”って言うじゃない?









「汐莉、お土産何買うの?」




当たり前のようにあたしの傍で笑うキミ。
当たり前のように流れる空気。


全部が温かい。





あたし、幸せ者だな…






「聞いてる?」

「へっ?!聞いてる聞いてる!!」

「沖縄って言ったらやっぱしコレ?」





健が苦笑いしながら差し出した物は……



“ちんすこう”



と、パッケージの全面にでっかく独特の筆字で書かれた物。






「コレ、何か嫌なんだよな~……特に名前が…」



まじまじと赤いその箱を見つめながら言う。

地味に、ニヤニヤしてる。

……いやらしい。笑





「……ニヤニヤしてる」


あたしの呟きに敏感に反応して
無理に笑いを堪えはじめる健。

その顔、面白すぎ……




「おっ?!ちん〇〇うじゃん!!」

隣で叫んだバカな人がいた。


まさか、“ちんすこう”を“ちん〇〇う”と読み間違えるとは……
(※皆さん、ご自由にお考えください)



「バカっ…ちんすこうだよ」

「え、俺なんか間違えた?」




うん、かなり……。