汐莉………好きだ。






世界にはたくさんの言葉が溢れているのに
たった三文字の言葉を伝えるまでに
僕はどれくらい時を費やしたのだろう?





たった三文字。
たかが三文字。


それなのに僕には、いつも言えなかった言葉。






こんなにも愛しい三文字の言葉が
この世に存在していたなんて知らなかった。






汐莉に出逢わなかったら
この三文字の言葉の本当の意味を
僕はきっと知ることはなかったんだろう。



この言葉だけは、絶対に伝えたくて……
この言葉だけは、特別で……


伝えるまでに時間がかかった。





簡単な言葉だけど、
それだけに意味がたくさんあって

大切な言葉なんだと思う。








汐莉、僕は汐莉が

好きだ………





何回言っても足りないくらいに
汐莉が好きなんだ。











未だに僕は、汐莉が病気なんだと信じきれてはいない。

心のどこかで抵抗している自分がいた。







汐莉がいない世界なんて想像したくもないし
したこともなかった。

ましてや、自分がそんな世界で生きていけるかなんて
知ったことではない。




汐莉がいない世界で僕は、
息をすることすらできないんだろう…




僕には汐莉が必要なんだ…

空気よりも何よりも……




いなかったら生きていけない。

それくらい大切な宝物なんだよ……?





だけど……
そんな宝物が……









もしかしたら失ってしまうかもしれない……。