「し……おり…?」


僕を抱きしめたのは
泣きながら肩で息をする汐莉だった。


汐莉のキレイな瞳からはとめどなく大粒の涙が流れ続ける。







「…嫌だ……行かない、でっ……」


「汐莉………」





「……お願い…


あたしのこと、守れなくてもいい…



病気なんかすぐに治すから……
もっともっと可愛くなれるように努力もする……

健のためならなんでもするよ……?


それに……
もう二度と、自分から抱きついたりしない…
しつこく追いかけたりしない………
自分からキスしたり、押し倒したりしない……




…だから……

だから……
一人にしないで………

離れていったりしないで………」







ひたすら涙を流しながら
汐莉は僕にありったけの思いをぶつけ続ける。


もういい……
そんなに涙流さないで……







「あたしには……健だけなのっ……キャっ」




知らず知らずのうちに僕は汐莉を強く抱きしめていた。











汐莉………
そんなに自分を責めなくていいから…

僕をもっと求めていいから…


ずっと傍にいてくれないか?






僕は言われなくても
汐莉を抱きしめる準備くらいできてるよ?

思いっきりしがみついていいよ。
たくさん感情ぶつけていいよ。
いっぱい泣いてもいいよ。



汐莉が傍にいてくれれば……
僕はどこにも行かないから。

汐莉を守りつづけるから。




少しは僕を頼ってよ…?










「汐莉……好きだ」




僕は震える汐莉の唇に小さくキスを落とした。


離れないように
壊れないように……


優しく強く抱きしめながら。