健と見た海は、すごくすごくキレイで
それは言葉にできない素晴らしさだった。
「良かったなー♪
汐莉、海好きだもんな?」
ふざけてばっかの健だけど、悔しいくらいにあたしのことを一番よくわかってる。
「…ありがとう」
「お礼されるようなこと、俺してねーよ?」
その優しさにもありがとうだよ。
……全く。
健はいっつもあたしの一番美味しいところを
まんまと持ってくんだから。
「……ずるい」
「何かあったか?」
詐欺みたいな笑顔も、
あたしをよく知ってるところも、
一番欲しい優しさも…
全部が羨ましくてずるいよ。
「あははっ!!ばぁーか♪」
「……っ…バカじゃねーし。
てか、バカにバカって言われたくねー」
「うるさいわね!!」
なんて意地張っちゃって素直じゃないなんて
あたしも本当、可愛くないヤツ。
バカだなー、自分。
なんて自分で思うと更に悲しくなってきた気がする。
「…ったく……汐莉は本当可愛いな」
ポツリと呟いた健の言葉に思わず、顔が真っ赤に染まる。
健もなぜかそっぽを向いている。
「健ー?…どうしたの?」
「………」
言い逃げ?
なんだそれー……!!
健の横顔を見つめると、少しだけ健の頬が赤くなっているのがわかる。
なんだ、照れてんのかい。
…って、健がぁ?!
まっさかー……?
でも、照れてる健も可愛いかも……。
あたしの胸は小さくドキン、と音を立てた。
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