健のあたしの頬を引っ張る力は
だんだん強くなる。
……痛い。
…痛い
痛い!!!!
「…いひゃい」
ちゅっ
と、軽い音がして
あたしの唇に健の唇が重なった。
「……ん、ちょっ…!!」
なんとか健を押し返すと、健は切ない表情をした。
「汐莉、隠してる事あんなら言えよ?」
「………うん」
ああ、周りの視線が痛い。
頬の痛さとダブルで究極に痛いです。
周りの人はみんな他人のフリするし
(※クラスメイトです)
むちゃくちゃ嫌な雰囲気……。
「沖縄行ったら何買うー?
星の砂とか有名だよなー」
そんなあたしをよそに健はお土産話に花を咲かせている。
目キラキラ輝かせながらパンフレットなんか見ちゃってるし。
可愛いったら
羨ましいくらいに。
ついついあたしの性格で
「どれ?」
とかノっちゃう訳で。
ああー……
周りの視線が痛いなんて言えない…。
こんな楽しんでる健見たら言わなきゃいけないものも、言えなくなっちゃうじゃない……。
「向こう着いたらさ、お揃いのもん買おうな♪」
「……うん//」
子供みたいにはしゃぐ健にドキドキしてる自分がいた。
あたしってこんな性格してたっけ?
有り得ないくらい、健の笑顔が好きになってる。
「あっ…!!」
「何?」
急に健が叫ぶから、ドキッとしちゃったよ。
すると、健は窓の外を指差して
「……海」
ポツリと呟いた。
窓の外には、真っ青な海と緑の島が見えた。
島の周りは白い砂浜で囲まれていて
小さな小さなヨットも見えた。
「……キレイ」
「すげぇ…」
あたしも健もキレイすぎる景色に目を奪われて
言葉をなくしてしまった。
.



