「ほら、あたしに言ってみな?」
「……うん」
里実に促されるままにあたしはさっきまでの経緯を話した。
聞き終わって里実の一言。
「なぁんだ、ラブラブなんじゃん」
?
あ、確かに悩み事じゃないかも……。
「あは、あははは……」
里実の少し怒り気味の低めの声にあたしは苦笑いをした。
するとふいに里実の右腕が上がった。
あたしはすかさず身構える………
ポン…
「……へ?」
必要もなく、里実は優しくあたしの頭を撫でた。
「ねぇ汐莉……
あたしじゃ汐莉の秘密、教えてもらえないのかな?」
里実の言葉に一瞬……
ほんの一瞬だけだけど、あたしの心に罪悪感が生まれた。
……あたしの秘密?
聞かれたらそんなのないよって
ごまかそうと思ってた。
だけど、里実の瞳だけは………
嘘がなくて真っ直ぐあたしを見つめてた。
“友達なんだから”
里実がいつも言う言葉。
きっと里実は優しいからあたしに隠し事があるって知って
“友達”だから知りたいと思ってくれた。
だけどあたしは………
この秘密を伝えられる程、
強く………ないから
「……その瞳だよ」
「え?」
「ずっとその瞳してる。
あたし……汐莉の友達だよね?」
ズキッ…
あれ、里実の涙声聞いたら心が痛くなってきた。
あたしは辛くないはずなのに……
全然苦しくないはずなのに……
なんでだろ?
そうだ、あたし………
里実に大事なこと隠してるからだ……。
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