ひまわり





◇◆Side.汐莉◆◇


「くはぁ……」

体育館の端っこでこの前の試合のスコアをまとめながら
誰にも気付かれないように大きなため息をついた。




ここ最近のあたしは変だ。
健の傍にいると、どうにもこうにも調子が狂う。


昔はこんなんじゃなかったのになぁ……






「あっ、汐莉違う!!」

「…へ?」



里実に言われて自分の手元に視線を落とす。
すると、見事なほどに欄がズレにズレてぐちゃぐちゃだ。



「もー……
あたしやるから汐莉は座ってて」

「……ごめん」



さすがの里実も呆れてる。
あたしダメだな……


もう一度、ため息をついた。
今度は小さく。







目をつぶれば、浮かぶのは健の笑顔。
健の寝顔…健の怒った顔…健の照れた顔…


様々な健がスライドショーのように浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。



はあ………
あたし相当重症だな、こりゃ…。

でも、健のことを想うと自然と笑顔になれることは間違いない。



そのうち、健がいないと生きていけなくなる気もし始めている。

あー……もう。







「汐莉……欲求不満?」


?!



里実の言葉に心臓が跳ね上がった。

え……
欲求不満って例えば、もっと近づきたいとか
もっと触れたいとか

そういう欲が満たされないことじゃないの?







「あんた……なんかあったの?」

「………」



ありましたとも。
ものすごーく、ありましたよ。本当に。

なんて言えるわけもなく。




当たり過ぎてて少し里実が怖くなった。