「なあなあ、将生?」
「お?」
「そーいやお前はどーなの?」
「俺?」
将生は僕の質問に少し考えてからこう言った。
「よくわかんねーや…
別れたのは確かだし、もう女はいいや」
正直、驚いた。
将生には中学からずっと付き合っている彼女がいると聞いていたから、そんな言葉が出るとは思わなかった。
「花帆とは高校卒業したら結婚するって言ってた仲だし正直自分でも信じられねぇよ…」
結婚……
お調子者で軽い雰囲気な将生だけどこんなに考えてたなんて。
将生こそ、花帆ちゃんのこと大切だったんじゃねーかよ……
そう思った瞬間、僕は将生にこう言い放った。
「…お前、そんなに大切な子諦めていいのかよ?」
将生は目を丸くして僕を見つめた。
「まだ好きなんだろ?花帆ちゃんのこと…
忘れられねーんだろ?
だったら好きってぶつければいいだろ、わがままになればいいだろ
失ってからじゃ遅いんだよ……」
僕は止まらなくて、溢れる気持ちを真っ直ぐ将生にぶつけた。
どうしても……
将生と花帆ちゃんに上手くいってほしくて、
好きな気持ちを諦めてほしくなくて。
僕が汐莉への想いを必死に育ててきたように
将生の花帆ちゃんへの想いを無かったことにしてほしくなくて…
「だからさ……諦めんなよ。最後まで諦めんな
まだわかんねーだろ?」
「……健…」
僕はみんなにモテる汐莉が好きだった。
僕なんかには無理かもしれないって諦めそうになった時もあった。
でも必死に育てた想い。
捨てれなかった
きっと将生も、花帆ちゃんのことを僕と同じように好きなはず。
だから諦めてほしくない
将生に言った言葉一つ一つはもしかしたら僕自身に向けての言葉だったのかもしれない。
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