「んで?どう落とし前つけてくれんの?」
『オトシマエ?』
そ、そんな借金取りみたいな…
「どんだけ待ったと思うんだよ」
『い、1ヶ月?』
「10年」
『じゅっ…』
「最初っから好きだったんだって」
そ、そういうのサラッと言わないでよ……
涙腺が……
うん、崩壊した。
『ふっ…ふぇっ…』
「泣き顔、勘弁なって言ったのに…」
そんなこと、気にしてられなかった。
彰に想いが伝わったことが、彰があたしを想っていてくれたことが。
とてつもなく嬉しくて。
あたしは彰にしがみついて、その存在を確かめながら、泣いた。
「紗也」
『う…?』
頭上から降ってきた声に、顔をあげる。
「上目遣いになってる」
『そんなこと言われたって…』
あんた、成長しすぎなんだよっ!
「ここ、どこ?」
『え?あ、彰の部屋?』
「の?」
『ベッドの、上』
あ…ヤバい…?
「状況、確認できた?」
『はい、ごめんなさい』
あたしは、ベッドから降りるために彰から離れようとした。
『……彰くーん?』
でも、いつの間にか背中に回った彰の腕にしっかりと抱き止められてて、抜け出せない。
「……お前さ、ホワイトデーに復讐するって、言ってたよな?」
『言ってた…ね?』
まぁ、あれは勘違いと偶然が引き起こした事故だから、もう復讐なんて必要ないけど。
けど!
……今、悪寒がしたのはきっと気のせい……
「俺もお前に復讐する」
『…え?』
「10年間、待たせた復讐」
そう言って、ニヤリと笑った。
気のせい、じゃないみたい。
『…え?マジで?』
これは、バレンタインデーに
あたしがつまみ食いした、
1つの毒入りチョコレートで
気づかされた恋───…
fin.