彰があたしを押し倒している状況下において、顔が近いのは仕方がないのかもしれない。


でも、これは近すぎやしませんか?


ちょっと首をあげれば、キスできちゃう距離にある彰の、悔しいくらい整った顔。


切れ長の目に写るのは、間違いなくこのあたしで。


そんな、いつ破裂するかわからないくらいの勢いで脈をうっている心臓のまま、



「さっき言ってた…紗也の俺への気持ち、聞かせて?」



って言われても!言えるわけないでしょうが!!


だってよーするに、

【今すぐここでこのまま俺に告白しろ】

ってことでしょう!?


無理無理無理無理!!


マジで心臓がっ……



「なぁ、ダメ?」



って!何その捨てられた子犬みたいな瞳!!どこで覚えてきたの!?お姉さん、知らないよ!?


カッコいいに可愛いプラスしてどうするの!?


あたし、心臓破裂で死ぬからね!



『む、無理…』

「俺のこと、嫌い?」



あ、もうダメだ。可愛すぎる。



『だ、大好きです…』



両手で顔を覆いながら、そう呟いた。



「……ま、“今日は”それで勘弁してやるよ」



今日は!?何、明日も言わせる気なの!?


反抗してやろうと、手を退かすと、ニヤリと笑った彰と目があって。


ドキドキしてる間に、あたしの唇は奪われた。