「とりあえず、想いは伝えなよ。あたしに、駿(シュン)に想いを伝える勇気をくれたのは紗也だったよ。だからあたしも、紗也の背中を押してあげたい」

『ゆーかぁ…』

「泣くのは成功してから!嬉し涙しか許さないから」



そう言ってニコリと笑った。



『バレンタインの時のあたしのセリフだ、それ』



思い出して、あたしも笑う。


……そこで、一つの疑問。



『ところで……駿って誰?』

「…紗也、友達の彼氏の名前くらい覚えててよ」

『あ、神田くん!?駿って言うんだ?ってかあたし、存在すらあやふやだったのに、下の名前なんて覚えてるわけないじゃん!』

「駿、可哀想……」



優花に、本日二度目のため息をつかれる。


ごめんね、神田くん。


これでもう忘れないはずだから。