「紗也」

『は、はい!?』



急に名前を呼ばれ、また声が裏返る。


そこには、ものすごく不機嫌な彰の顔があった。



「後で俺ん家集合」

『えぇ!?』

「満、行くぞ」



たーくんに、またな、と言って頭を撫でてから、満くんを引き連れて家の中に入ってしまった。



ポツンと残されてしまったあたしとたーくん。



『あ、あはは…彰、ご機嫌ナナメみたいだね?』

「あっくんねぇ、たぶん、しっとしてるんだよ」

『しっと…嫉妬!?』

「紗也ちゃん、ドンカンだから、あっくん大変だって言ってたもん」

『た、たーくん?』

「男の子はね、あんまりガマンできないんだよー?あっくん、かわいそう……
紗也ちゃん、あっくんをあんまりじらしちゃ、めっ!だよ」



ばいばい、と家に入っていくたーくんをぼんやりと見送る。


今度はポツリと、1人。


え、てかたーくん……キミ、5歳だよね!?


なんだ、今のアドバイス的発言…どこで覚えてきたの!?