『空』

俺の瞳を見て、そんな例えをした者はかつてひとりもいない。


俺にそんな笑顔を向ける者なんて―…

















「…空みたいできれい」






…きれい?

この俺が?








「………」

思いがけない言葉に固まっていると、少女は俺の片手に握られている、まだ血のこびりついた刀に目を向けた。

「…だれかころしたの?」

幼い少女の口から出た単刀直入のその問いに、俺は首を縦に振った。

「わたしも…ころすの?」


「…死にたいのか?」

質問を質問で返し、返答を待つ。

少女は一度顔を俯かせ、そしてすぐに上げた。

「わたしは」














「空に還りたい」


もう一度、飛びたい。

 

少女はそう願った。