「次の休みの日に買いに行く」 そうとだけ言って、カインはバスルームへと入っていった。 何となく脱力感を覚えたわたしの体は、へたりと床に落ちる。 本当に、よかった。 今日二度目の安堵の息をついた。 *** 「失礼します」 暗い部屋で、レイヴンは書類を片手に自分の主である男に頭を下げた。 男……紅蓮はそれを一瞥し、見下すように目を細めた。 「……見つかったのか?」 「それが全力を尽くしてはいるのですが、まだ……」 「ハッ、役立たずどもめ」 静かな殺気に、レイヴンはただ黙って彼を見据える。