カタ…

「!」

ふと、奥の方から何かの音が聞こえた。

そしてすぐに、それが人だと分かった。

気配がしたから。


「……」

殺し損ねた奴がいたのか。


いや、それはない。

依頼通りこの屋敷の人間は全て始末した。

そこに転がっているモノと依頼された人数は一致する。





俺は刀の血を軽く払い、それを右手に携えたまま気配のする部屋へ向かった。













そこは、どうやら誰かの寝室の様だった。

大きなベッドやら、高価そうな家具やらが置かれている。

それらを一瞥し、ふと気が付く。


…空気の流れが違う。


その微量な違いを感じ取った俺は、迷うことなく部屋の奥へと歩みを進めた。