傘も何も差さずにここまで来たため、俺とララはびしょ濡れの状態だった。

ララにタオルを渡し、俺は部屋の奥を指差した。

「…?」

「風呂がある。入っていい」

それだけを言い、俺は着替えるために服を脱いだ。

「カインは…入らないの?」

ララが遠慮がちに尋ねてくる。

「俺はこれから少し出掛けてくる。その間に入っていろ」

「どこか行くの?」

「…すぐ戻る」

素早く着替えを済ませ、まだ不安そうにこちらを見つめるララに視線を向ける。

「お前の着替えはそこに置いておく」

そう言い残して部屋を出た。





「ひとりにしないで…」

確かに聞こえた呟きには、気付かないふりをした。


第一幕・了