「わたしも、連れてって…」 泣きそうな顔をして、そう言った。 「…は?」 何を言ってるんだ、この少女は。 少女の意図が理解できない俺は、少しだけ顔を歪ませた。 少女はただ必死に言葉を紡ぐ。 「わたしにはっ、帰るとこも…行くところもない…。だから…」 ついに零れた涙が、コンクリートの床に染みをつくる。 泣く少女は、儚くて。 どこか、美しくて…。 「…好きにしろ」 気付けば、そう言葉にしていた自分がいた。