「RIKKAさんっすよね。握手……いいっすか?」

何の事はない、握手を求められただけだった。

「お前もRIKKAのファンかよー」

レンが呆れ声で。

緊張が和らぐ。

「へへへ、上には内緒で」

「あ、うちも娘がファンなんで、良かったら……」

「はいはい、握手とサインは一列に並んでぇー」

なんて感じでレンは警備員さんと軽口を叩いて、あたしはついでにサインもしてあげ、手を振って警備室前から送り出された。


あたし、今、拉致られてるはずなのに……。