あたしは不機嫌気味におにいちゃんのスピーチを聞いていると、
ふと、おにいちゃんと目があった。
『・・・っ!!』
おにいちゃんの真剣な眼差しに、
あたしの心臓が飛び跳ねた・・・。
それからのおにいちゃんのスピーチはまったく頭に届かなかった。
どんなことより、この大勢の中、
あたしに気がついて、一瞬でも目が合ったことがうれしかった。
『やっぱりあたしはおにいちゃんのことがすきなんだ・・・。』
そう実感した。
でもそれは、叶わない恋だということも理解している。
だからこそ、こんなにも辛い・・・。
『ホント・・・
どうしたらいいんだろ・・・。』
思わずつぶやいてしまった。
奇跡的にも、
誰も気がつかなかった。
自分と葛藤していると、
入学式が終わろうとしていた。
『新入生、退場。』
という声がかかり、順番に退場し始めた。
あたしもつられて退場する。



