そう言って、顔を上げた美和の目にはうっすら涙。


「泣いてんじゃん」


「泣いてないもん」


「ママは泣き虫だな、美結」


「ちょっと、龍矢。美結にそんなこと言わないでよ」


「はいはい」


美和と美結。


俺が二人をおいて、どこに行くんだよ。


「龍矢、ほんとにどっこも行かない?」


「行かないって」


特に、さみしがり屋の美和をおいて。


「約束だよ?」


「当たり前だ」


約束のキス。


美結が見るには、ちょっと早過ぎたな。


腕の中に居る美結を見て、思った。