好きだから、別れよう。



「アヤ〜!おはよ!」



改札を抜けて階段を降りる私に、声を掛けたのは…


「リカコ!おはよう!」


親友のリカコだ。



リカコと私は小学校からの同級生。

リカコは高校入学前に今の家に引っ越したから電車通学じゃないけど、

私達は毎朝一緒に登校してるんだ。



「今日も隣の車両の彼に会えたの?」


自転車を転ばしながらリカコが言う。

私は首を大きく縦に振った。


「今日は濃いグレーのスーツだったんだぁ。すごいかっこよかった!」

「まぁ…スーツ姿って確かにカッコイイよね〜。高校生にはない色気っていうか。」


彼の姿を思い出してはしゃぐ私の横で、「でも…」とリカコは続けた。



「でもあの人、何歳なんだろ?24〜25歳くらいに見えるけど…。

10歳近くも年下のあたしたちにも、恋愛感情持ってくれるかなぁ…」



リカコの言葉に、私は黙りこんだ。



そう、それは私が一番気にしていること。



高校生の私を、社会人の彼が好きになってくれるの…?








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