好きだから、別れよう。




駅の階段を駆け上がる私に、階段の下からリカコが叫んだ。



「アヤ〜!また明日ね!明日、頑張れ〜!」


私は振り返って頷き、リカコに手を振った。


リカコ、私、頑張るよ!

今日の夜は緊張して眠れないかもしれないけど…

マサキさんと、もっと仲良くなるために!




自動改札を抜け、ホームに向かう階段を降りているところで、発車のメロディーが鳴った。



駆け込み乗車で、ギリギリセーフ。



ホームの階段から一番近い車両に乗り込み、座席を探した。


この時間の電車には女性専用車両はなく一般車両のみ。


ラッシュの時間を外れているということもあって、車内はがらんとしていた。



私はひとりで座れるボックス席を探して、隣の車両に移動した。





そこで、目を疑った。






え…


ウソ……




マサキさんが、いる。








.