好きだから、別れよう。



今まで、隣の車両からガラス越しにしか見れなかった彼が、

今、私の50cm先にいる。

私の目の前で、吊り革に掴まってる。

あっ、右腕に腕時計。

右腕につける派なんだ…。


こんなに近くで彼を見つめて、

今まで知らなかった彼を見つけられるの…

たまらなく嬉しいよ。


私、明日から毎朝この車両に乗ろっかな…。






――そう思ったときだった。






.