…気付いた?





一瞬、ちらっとこちらに目を向けたマサキさんは、何事もなかったかのように正面を向き……



そして、今度は勢いよくこちらを向いた。





「アヤ!?」



その声は、隣の車両にいる私の元まではっきりと聞こえて。



ハッと我に返って、大声を出したことを周囲に謝るマサキさんがなんだかかわいかった。




「アヤ、来なさい」




口パクでそう言いながら、マサキさんは私を手招きした。



命令口調。



なんだか、すごくドキドキした。







私はそっと車両と車両を繋ぐドアに手をかけ、マサキさんがいる一般車両に移動した。






「何してんの!」



小声で、わざと少し険しい表情をするマサキさん。



「だって…マサキさんに会いたかったから。マサキさんも会いたいって言ってくれたし…」



周りの人から見えないように、マサキさんのワイシャツの裾をちょこっとだけ掴んだ。








…その私の右手を、

ズボンのポケットに入れられていたマサキさんの左手が、包む。








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