……………………っ 悔しい…でも、何もなかったって言っても信じてもらえるわけないよね。 だけど、金屋さんもそう思われるのは嫌だよ… 事務所を出て、建物の外のベンチに座ってこっそり泣いた。 「楓華?」 安心する声に勢い良く振り返ると、少し驚いた顔の聖夜がいた。 「泣いてんの?」 『…聖夜ぁ~』 涙がポロポロ出てきて、小さい子みたいに泣きじゃくっていると、聖夜はかぶっていた帽子をあたしに被せて、タクシーを呼んだ。 『聖夜~…?』 どこ行くの? 「とりあえず俺ん家来い。」