僕は、何も感じなかった。
元々男の子っぽい格好ばっかりしていたし
女の子の制服を着ていた頃よりも
自分をさらけ出せるんだ。
ただ・・・・・
何処まで行っても寂しかった。



“寂しかった”
ウチはそれを感じたことはない。
自分で言うのも変だけど
顔が結構可愛かったウチは
力が強かった。
ギャップとか言って
寄って来るヤツばかりだった。
“寂しい”なんて
感じたことはなかった。
・・・・・・・何故ちーは・・・?



男女共用の制服。
僕はスカートじゃなくて
ズボンをはいて
出席番号も男女混合。
ばれる筈もない。
でも心を開きかけるたびに思うんだ。
『自分のことを本当にわかってくれる、
そんなヤツいないんだ』って。
言った所で引かれるんだ。
こんなの女じゃないってね・・・。

中学のときもそうだったんだ。

いつの間にか、皆居なくなってたんだ。
昔から背が高くて、
中学入ってからもっと伸びて
女友達が居なくなった。
男も馬鹿にしてきた。
人間ってこんなに簡単に離れていくんだね。
あの時はそう思った。
女として生まれた私は
認めてもらえないの?
男として認められてもまた、否定される。



涙がこぼれた。
初めて学校で泣いた。
本当は自分にもあった。
一緒にいてくれる人はいたけど
自分の見た目のことをいろいろ言ってくる人が
確かにいた。
その一緒にいてくれている人の中にさえも。



「・・・・・・・・・結局俺も、独りかよ・・・っ」



思い知らされる。
あの日『ウチ』の中に閉じ込めた『俺』が
溢れ出す。