「あぁ−……わかったよ」
一葉が顔をしかめながら返事をする。
携帯の着信の時に見ちゃったんだけど、相手は一葉の弟だった。

家のことかな…?

パタン、という音で私の思考が途切れた。

「悪い。なんか急用ができた、らしい」

なんて曖昧な。

「あ−…わかった。じゃあ行ってらっしゃい」
「本当に、ごめん。せっかく用意してくれたのに…」
「いいよ。早く行ったほうがいいし。」

申しわけなさそうにするから、我が儘も
いじわるもする気になれなかった。

「じゃあ、明日絶対来てくれよ?」
「二言はないよ(笑)」

不安なのかな
もっと、私を信じてよ

「待ってるからな」
「うん」
玄関まで見送る
それより後は本気で急ぐらしいから、行かない
本当は少しでも一緒にいたいけど
迷惑をかけるわけにはいかないからね…

「じゃあ」
「また明日」

扉が閉まった。
『また明日』なんて言えるの、今日が最後なんだ。
明日には
もう
また、いつか
になるんだ










…………いやだ



いかないでよ





また会えるんでしょ?




いつになるかわからないなんて
そんな寂しいこと言わないで







その場で私は泣き崩れた