「お前何言っちゃってんの?」
息を切らしてがんばって声を出している一葉を
笑いたかったけど
今は心の中だけで笑っておこう。
「一葉、その格好どしたの?」
「あぁこれ?今更なれないカッコしても面倒だし
今男のカッコをしても自分を否定してるんだろ?」

「ぶっちゃけ女装自体は誇ることでも
何でもねェけどさ」
「かず・・・」

「横いい?」
「あ・・いいけど」
話す間もなく今にも
母vs一葉
が始まりそうになってしまった。

「母さん」
「なによ」
「謝る気は全くないことを前提に話すな」

一葉が一息つく。
「ちーが言っているのは少し大げさすぎる。
でも大体合ってるんだ。
だから・・・なんつーんだ・・・
その・・・」

「一葉はっきりしなよ」

「あ、えーと・・・
会話くらいしてくれてもいいんじゃないのか?
少しくらい俺を認めてくれてもいいんじゃないのか?」





















「せめて学校のときの自分くらい・・・認めてくれよ」







消えそうな声

一葉の

弱々しい声



「ダメだったら話するくらいしてくれ」
「一葉、もういいよ。行こう」







私たちは家を出て近くの公園に入った。