「やめろよ!!なんでそんな・・・」
「じゃあなんで泣いたの?」
「・・・・・・・・・・・・っ」
「寂しくて、哀しかったんじゃないの?」
「・・・・・・・・・」
一葉は何も答えない。
手を引いているから今
どんな顔をしているかも分からない。

一葉も、私も。

「だから今、私にできることをするの」




もう寂しくないように

家の中で『ガラスの向こう側』にならないように

今まで救ってもらったように






私も一葉を救いたい────────・・・!!!







ピンポーン


瞬時に一葉を私の後ろに隠す。


《はい、安藤です》
「あ、えーと朝比奈という者ですが・・・
一葉くんいますか?」

《え、・・・・・・・いませんが》
「そうですか。ではお邪魔して待ってもいいでしょうか?」
《はい。ではちょっと待ってください》

プツッ

「一葉、着替えておいで」
「え」
「その格好だったら親御さんと話せないんでしょ?」
「・・・・・・・・・・あぁ・・・・」

「早く行って。お母さん来ちゃうよ」
「あ・・・あぁ」
走っていく音が聞こえる。
わたしはその音に目を向けない。

「はい、じゃあ上がってください~」
「お邪魔します」
「どうぞ」

一葉の両親との戦いが始まった。