呼び出し音が鳴るだけで、俊貴は出て来ない。 「お願い出て…」 何回もかけるけど出てくれない… あたしの目は自然と涙目になる。 携帯を握りしめたまんまあたしは、部屋の隅にうずくまる。 ♪~♪~♪~ ビクッ… 突然鳴った携帯に驚く。 だけど、すぐに安心出来る。 だって、この着信音は俊貴にだけ、設定している音だから。 「としき…」 あたしは、涙声で電話に出た。