「ごめん…やだったよな。」
「ち…ちがっ。」
あたしは泣きながら首を振った。
「…涼子ごめんな。」
九条さんはあたしの涙を拭いて抱き寄せると、そっと頭をなでた。
「お願いだから、九条さんは謝らないでっ。」
あたしは九条さんからそっと離れると、うつむいて襟ぐりをつかんで九条さんにあの傷を見せた。
「…あたし小さい頃に手術して、傷が残ってるんです。だからあたし…んっ。」
すると九条さんは、あたしの口を手で覆った。
「バカだな…涼子は。」
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