あたしが財布を取り出そうとすると、九条さんがあたしの手を止めた。
「…いいから。」
「ごゆっくりどうぞ。」
お姉さんからチケットを受け取って、あたし達は動物園の中に入った。
「九条さん…あの。」
「今日はクリスマスなんだから…俺に少しくらいかっこつけさせてよ。」
九条さんはくしゃっと笑って言った。
「ありがとうございますっ。」
…やっぱり大人。
あっさりお金払っちゃうんだもんな。
九条さんはあたしの手をとって、歩き出した。
隣に並ぶと、九条さんの背の高さをますます感じた。
それにあたしチビだしね。

