それは聞き間違えもしない… 大好きで…会いたくて、仕方のなかった、九条さんの声だった。 あたしが顔を上げると、そこにはあの頃と変わらない…九条さんの姿があったんだ。 「九条…さん?」 あまりに突然なことで、あたしは胸の前で財布を握りしめながら、固まってしまった。