そしてゆっくりとあたしを離してくれた。
その目はなんだかすごく寂しそうで、あたしはまた泣きそうになる。
「あたしそろそろ帰ります。」
あたしは、涙を拭いて立ち上がった。
「…送るよ。」
「や…今日は一人で帰ります。」
あたしって本当にかわいくない…最後くらい甘えればいいのに。
でも今は、なんだか一人で帰りたい気分だった。
これ以上一緒にいるのは辛い。
玄関先で…いつものようにバイバイをする。
最後くらい笑顔で別れよう…そう心に誓ったから。
「涼子!」
そう呼ばれて、びくっと体が反応する。
でも振り返ることが出来なかった…だってあたし、涙が止まらなくて、きっとひどい顔してる。

