「だからここはまだお預け。」

そう言って九条さんは、人差し指であたしの唇に触れた。


…恥ずかし。



九条さんの目を見ていると、これからあたしたちは別れるなんて、忘れてしまう。

そのくらい…優しい目だった。



「…涼子。」

いつもと変わらずあたしの名を呼ぶ声が…なんだか愛おしくてたまらない。