worlds of last generationシリーズ 第一部

少しだけ震える腕が…私を強く締め付ける。
けれど痛いわけでも、苦しいわけでもなく、ただ酷く安心する。

そう…――
それはまるで―――

『幼い頃の日々に戻ったかの様』

そう思うと嬉しくなった。
まだ少し…ほんの少しだけ震える静夜が、無償に可愛く思えてくる。

「ゆぅちゃん?」
不思議そうな声で私を呼ぶ彼。
「どうして笑ってるの?」
目線だけで応じた私に、彼は続けた。
そう言われて漸く、自分が笑ってる事に気付いて…
「何でもない!」
何故か凄く恥ずかしくなって、屋上の扉まで走る。
もう少しで扉に触れられる距離で、右手を引かれた。

「…何処行くの?ゆぅちゃん」
後ろから抱き締められ、耳元で囁く静夜。
胸がどきどきして止まらなくて、顔も何だか熱くなる。

「えっと…そろそろ授業に――」
「戻らなくて良いから」
私の言葉を最後まで聞かずに、強くそう言う。
それと同時に腕に力が込められる。
私は彼に完全に捕まっていた。

「戻らなくて良い。俺が分からなくて避けられてたなら…今すぐにでも俺を知れよ。」
背中越しに感じる静夜の温もり。
掠かに伝わる鼓動の早さは気のせいだろうか…?
「このまま昼まで俺と居よう?なぁ――」
“由亜”