worlds of last generationシリーズ 第一部

そうしてあれよあれよと抗争が悪化しつつ続く中、教室に帰ってきた仲戸が二人の怒りを静めた。
彼の人当たりの良さと、優しい口調での語り掛けの結果…二人は渋々納得した形で終りを告げる。

「今日は仲戸君に免じて許してあげるけど…次は無いからね?」
「お前如きに負ける気はしないな」
何時もの口調で言い放つ静夜に、小手川も悠々と言い返す。
また二人の間に不穏な空気が流れるが、それは休み時間の終りを告げるチャイムで打ち切られる。

「ゆぅちゃん行こっか。だれかさんのせいで遅くなっちゃったけど…。それとも僕と授業サボる?」
「サボらない!」
甘ったるい声でそう言われたが、少し強めに即答する。
「残念…フラれちゃった」
全く残念がっていない様な笑顔でそれだけ言うと、私の手を引いて歩き出す。

二人で歩く廊下は、予鈴チャイムがなった後のためあまり人がいなくてスムーズに歩を進められる。
「ねぇ、もう予鈴鳴ってるのにゆっくり歩いてて大丈夫なの?教材当番何でしょう?」
教材当番の人は本来、皆より早く科学室に行かなければならない筈だが…焦る様子を見せず、ゆったりとした足取りで進んで行く静夜に少し焦りながら聞いてみた。