worlds of last generationシリーズ 第一部

「ゆぅちゃん返事は?」
黙りこくっていた私に痺れを切らしたのか、そう言って笑い掛けてくる。

いや、だから――
顔が近いんだって!!
て言うかまた更に距離を縮め様としないでよ。
唇触れたらどうすんの!

とか色々脳裏に過っているが、今はそんな事考えてる場合じゃない。
私のファーストキスが…!!
そう思って目を固く閉じた。
反射的にやってしまった行動を少し経ってから後悔したが、唇に何かが触れた感触は無い。
恐る恐る目を開けてみると目の前には…アイアンクロウで顔を固定された状態で、私から引き離されている静夜がいた。
それでも私から手を放さない彼は、ある意味“英雄”と呼ぶにふさわしいと思う。

静夜の顔を鷲掴みにして放さないその手は、私の背後から伸びていた。
顔だけで振り向くと、そこには小手川が酷く不機嫌そうに顔を歪めながら立っている。

「年中盛ってんじゃねーよ、嘉住」
何時もよりも低く、唸るような声色で彼は言う。
苛付きを隠そうとしないその声に、少し冷や汗をかく。
「君よりはマシだね、男のツンデレは見苦しいよ?女の子なら可愛いけどね?」
静夜は冷笑を浮かべながらそう言うと、掴まれていた手を振りほどく。
何時もと違う小手川に戸惑いながら、私はただ彼等のやりとりを見つめていた。