「準備出来たなら行こっか?」
昔の事を思い出していると、そんな声が耳に届く。
気付けば私の手には、次の教科で使うものが全て収まっている。
顔をあげると…笑顔のまま私に手を差し延べる静夜。
その体制で微動だにしない彼は、出会った頃の優しい瞳をしていた。
「うん。行こっか」
そう言って歩き出そうとする私に反して、彼は一行に動こうとしない。
不思議に思い静夜を見つめると、目の前にすっと差し出される手。
…これは手を繋げと言う事なのだろうか?
そう思いながら、目の前に差し出された手を見つめる。
「ゆぅちゃん」
ふわりとした声で私を呼ぶ。
しかしその甘ったるい声色には、有無を言わせない様な強さがある。
…何と無く嫌な予感がする――
そう思った時にはもう遅くて、体を引き寄せられる。
「駄目でしょ?ゆぅちゃんは女の子なんだからエスコートされなきゃ」
左手で私の手首を掴み、引き寄せられた…更に後頭部に手を沿えて、物凄く顔が近い状態でそんな事を言う。
エスコートする意味が分からないんですけど…
心の中でなら呟ける言葉も、この至近距離で保たれた顔があって紡げない。
何か喋ったら…唇が当たりそうなそんな距離感が、妙に胸を高鳴らせていた。
昔の事を思い出していると、そんな声が耳に届く。
気付けば私の手には、次の教科で使うものが全て収まっている。
顔をあげると…笑顔のまま私に手を差し延べる静夜。
その体制で微動だにしない彼は、出会った頃の優しい瞳をしていた。
「うん。行こっか」
そう言って歩き出そうとする私に反して、彼は一行に動こうとしない。
不思議に思い静夜を見つめると、目の前にすっと差し出される手。
…これは手を繋げと言う事なのだろうか?
そう思いながら、目の前に差し出された手を見つめる。
「ゆぅちゃん」
ふわりとした声で私を呼ぶ。
しかしその甘ったるい声色には、有無を言わせない様な強さがある。
…何と無く嫌な予感がする――
そう思った時にはもう遅くて、体を引き寄せられる。
「駄目でしょ?ゆぅちゃんは女の子なんだからエスコートされなきゃ」
左手で私の手首を掴み、引き寄せられた…更に後頭部に手を沿えて、物凄く顔が近い状態でそんな事を言う。
エスコートする意味が分からないんですけど…
心の中でなら呟ける言葉も、この至近距離で保たれた顔があって紡げない。
何か喋ったら…唇が当たりそうなそんな距離感が、妙に胸を高鳴らせていた。


