worlds of last generationシリーズ 第一部

取り出してすぐに起動させて、現実に投影する。
「みっきゅら!」
そんな声と共に、金色のずんぐりむっくりな生き物が床をのそのそ動く。
「みわさんおはよう」
私は肩を掴んでいた鴫野の手を叩く様に払うと、みわさんの前にしゃがんで声を掛けた。
みわさんはゆっくりと前足を床から離し、後ろ足だけで体を支えて私を見上げる。
「ゆぁ〜、ゆぁ〜」
酷くゆっくりとした動きで、私に前足を伸ばしながらそう言うみわさん。
頭を撫でると気持よさそうに「きゅう」と鳴いた。

「遊んでおいで」
そう言ってぽんぽんと軽く頭を叩けば
「みっきゅら」
と返事をしてのそのそ歩いて行く。
その姿を見つめている時でさえ、脳裏を過ぎるのは昨日の事で…驚くほど鮮明な記憶として蘇ってくる。
あれは現実だったのだろうか。
私の見た単なる幻で、本当は昨日の事全て夢だったんじゃないかと…何度も考えた。
それでも、やけに鮮明に刻まれた彼の腕の強さと耳元に残る優しい声――何よりも彼の生命の証である鼓動さえも…全て私に焼き付いていた。

否定しようにも出来ない程の記憶。
刻まれた彼の存在に…私は動揺しているんだ。
やっとその結論まで辿り着いたけど、それでもどうする事も出来ないのは事実で…私はそのままの状態で朝のホームルームを向かえる。