worlds of last generationシリーズ 第一部

何だろう?
今日はやけに胸がどきどきする日だな。
そんな事を思いながら、彼の顔を真っ直ぐに見つめていた。
顔がぶつかる位の距離になると、私は反射的に目を瞑る。

コツン…

軽く額に衝撃が走った。
目を開けると、やっぱり小手川の顔が物凄く近くにある。
良く見ると、端整な顔立ちをしている彼の顔。
一年の時に何度かもてると聞いた事があったが、今更それを実感する。
彼の切長の瞳に吸い込まれるかの様に、目をそらす事が出来なかった。

「…熱は…無いみたいだな」
そんな風に色々考えていたら、突然彼が呟く。
その後に顔も離れていった。
そこで漸く、私は熱を調べられていた事に気付く。
「熱なんてあるわけ無いでしょ?て言うか…あったら学校休むよ?普通」
そう私は言ったのだが、彼は一人で何かを考えながら先に教室へと入っていった。
私も彼に続く様に、教室に入る。

「おはよ〜」
挨拶しながら向かう自分の席。
隣で荷物整理しながら何かを考える小手川に、仲戸が話しかけていた。
その風景を一瞥してから、私も荷物を整理して机の横に掛ける。
「おっはよ〜。今日の朔は大胆だね〜。あんな事深月にしちゃうなんてさ」
今は耳障りな程明るい声が、教室無いに響き渡る。
声のした方を見れば、楽しそうに笑いながら鴫野が此方に向かって歩いていた。