「よく聞いて…。もうすぐこの世界に終媛が訪れる」
「しゅうえん?」
「終りの事だよ」
真面目にはなしていた彼に、すかさず私が聞き返す。
彼は苦笑いの様な笑みをしながら、答えてくれた。
……仕方ないじゃん。私授業成績下の下だもん。
難しい言葉を言われても分からないよ。
て言うか笑うな!!
そう言おうとした言葉を、何とか我慢して飲みほす。

「この終媛は定められたものではない。けれど、人に覆せるものでもない」
「何かなぞなぞみたい」
私が率直な感想を述べると、彼はまた苦笑いの様な笑みを浮かべた。
「七度目の朝焼け…それが終りの合図。世界が崩壊を始めるただ一つの前兆」
けれど今度はそのまま話を続ける。
彼は何故か笑みを浮かべたままだ。
と言っても目は仮面で隠れているため、口元で判断しているだけだけど…

「終りはすぐ側に…気を付けて――由亜」
そういうと同時に、今まで私を拘束していた仮面の男は一瞬で消えた。
男がいた空間にはとても綺麗な光が瞬いているだけで…他には何もない。
私は愕然としながら、地面にへたりこむ。

こうして私は一日を終えた…


          序章/崩れる均衡 了