…(キーンコーンカーンコーン)


『起立、礼、着席』








暖かい春の陽射しに倉橋瀬奈は目を細めた。


高校生も幕を明けたと思っていたら早1ヶ月。


既に数学にはお手上げ。


せっかく高校生になったら遊べると思っていたのに、、、


…世間は甘くないのだ、とシャーペンをいじりながら自分自身を嘲笑してみる。


今は数学の時間である。


瀬奈の耳には数学担当の熱弁などこれっぽっちも届いておらず、窓際のいちばん裏の席で中庭を見つめていた。


と、そのときである。