男の手が、夏希の頬に触れた。
「仁くん!」
居ても立ってもいられなくなり、夏希の元へ向かおうとする俺を女が呼び止めた。
「行くの?もう別れてるんだから、仁くんは口出しする権利ないんじゃないの?」
俺を嘲笑うかのように言う女は正論を言っている。
そんなことはわかってる。
「ねぇ、仁くん。
私と付き合ってよ。」
やっぱり俺は夏希が好きで、それは変えようがない事実で。
守るとか守れないとか一人で考える前にやっぱり俺は夏希と居たい。
「わりぃ、それは無理だわ」
女にそう告げると俺は走り出した。
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